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ビールの世界をファンと一緒に変えていく BREWDOGのアンバサダーマーケティング

ブリュードッグ・カンパニー・ジャパン株式会社 ポジティブな評判を形成する

スコットランドでPUNKな精神を持って生まれたBREWDOG(ブリュードック)。
2021年には日本でアンバサダーを“PUNKS”(パンクス)と呼び、ブランドに共感してくれる方達とアンバサダーマーケティングを開始しました。
始めたきっかけ、これからの展望、ファンミーティングで実際にファンの方とお会いした時の印象をセミナーでお伺いしました。

宮广 明美 さんブリュードッグ・カンパニー・ジャパン株式会社 ブランドマネージャー
PUNKS(アンバサダー)と繋がり合い、日本で一緒にBREWDOGを盛り上げていく活動をしています。
徳力 基彦アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 アンバサダー/ブロガー

ビールの既成概念を壊す、パンクなビールメーカーBREWDOG

徳力:今日はよろしくお願いします。簡単に自己紹介をそれぞれからお願いします。

宮广さん:ブリュードッグ・カンパニー・ジャパンでマーケティングを担当しています、宮广(みやま)と申します。

徳力:早速ですが、まだまだブリュードッグについては知らないという方も多いと思いますので、アンバサダーマーケティングを含め、御社について、今日はくわしくお聞かせください。

宮广さん:ブリュードッグは2007年に、英・スコットランドで青年2人(ジェームズとマーティン)と愛犬1匹で創業したクラフトビール企業です。2人と1匹というのがユニークですが、愛犬ブラッケンは最高顧問職に就いているんですよ。

彼らはビジネスをパンク精神に置き換えて実践しています。創立当時、大量生産品のラガービールがメインとなっていたところ、「最近おいしいビールがないよね、なら自分たちで作ろうよ」ということでビールを作り始めました。万人向けに均一化されたビールが主流というイギリスの状況は、今の日本とも似ていると思います。
現在は、UKでナンバーワンのクラフトビールメーカーかつ、グローバルNo.1のクラフトビアバーチェーンオーナーとなっています。
ブリュードッグの企業ミッションは、「俺たちと同じように皆をクラフトビールの虜にすること」です。クレイジーなほどの情熱とこだわりをグラスや缶に詰めて、今日もビールを世界に届けています。

ブリュードッグの説明をしてくださる宮广さん

これまでにブリュードッグは「既成概念をぶっ壊し、新たにエキサイティングなビールの世界を作る」という目標のもとで知名度を上げてきました。事例でいいますと、クラウドファンディング「Equity for Punks」の設立(2009年)、「ジエンドオブヒストリー」(2010年)などとてもユニークなマーケティングをやっています。これらの紹介をしますとバズマーケティングではないかと言われるのですが、決してそうではなく「ビジネスのやり方やビールといえばこういうものだよね、という固定概念を壊す」ということが目的で、内容的にも既成概念への問題定義となっています。
こういったセンセーショナルなマーケティングと同時に、ユーザーと直接会話ができるSNSのマーケティングを非常に重視しています。ブリュードッグのマーケティングをまとめると、以下の図のようになります。中央のファン作りのサイクルをご覧頂ければと思います。

本国でも実施されていたファンがファンを作るサイクル

宮广さん:まず話題性を作り、次にクチコミでそれを広げます。クチコミからお店や商品を知った人がブリュードッグに直接触れる場である、バーに飲みに訪れます。そこで素晴らしい体験をしてもらって、ブリュードッグを好きになりかけた人にはSNSコミュニティに入ったり、クラウドファンディング(EFP: Equity for Punks)に加わったりしていただき、愛着を持っていただく。そしてまた新しい商品などが出て話題になると、ファンがクチコミをするという輪が広がっていくというサイクルと、ファンがファンを作るサイクルができているのです。

徳力:ビールの販売を開始されたのが2007年で、Twitter開始が2006年ですから、ブリュードッグとほぼ同じ時期です。そういう時代の流れに沿ってやってきたんだなあということが見て取れますね。

宮广さん:そうですね。それからファンの活動についても、とてもアンバサダーマーケティングと似た構造になっています。EFPというクラウドファンディングは、ここに出資した人はブリュードッグのマーケティングメンバーという位置づけです。アイデアや意見がここでたくさん出ますし、メンバーは死ぬまでBREWDOGバーで10%オフなどのインセンティブをもらったりできます。

徳力:体験の場所がある強みは大きいですね。製造卸だけのメーカーでは、できないインセンティブかと思いました。

宮广さん:バーは、マーケティングにおいてもとても重要な場所です。クラウドファンディングで集めたお金で直営店を増やし、お客様と直接コミュニケーションを取れる場としています。

徳力:すばらしいですね。本当の意味でのBtoCを体現していますね。

現在の日本市場での課題に“アンバサダーマーケティング”という一手

宮广さん:日本市場での課題は2つあります。
1つ目はまだまだ認知/飲用経験が低いということです。 2つ目は、差別化できる価値(ストーリー)が十分に伝わっていないということ。 とてもオリジナルなブランドなのですが、その内容がよく伝わっていないと感じています。

徳力:どうやって日本人にパンクの精神的なイメージを伝えるのかが重要になってきますでしょうか。とはいえ、昭和の私はパンクといえばパンクミュージック、モヒカンというイメージしかなかったりします。

宮广さん:実は私も、パンクというとモヒカンというイメージが強かったひとりです。ただし、古いものを壊すというイメージは本国でも日本でも変わらないようです。
ブランドのポテンシャルとしては、1度ブリュードッグを飲んでいただいた方は、リピート意向が高い、ということがあります。ポテンシャルを発揮できるようにしていきたいと思っています。
ただ単純に認知/飲料経験を上げていくのであれば、マスマーケティングをやればいいのですが、本国でファンと繋がることでここまで売上を伸ばしてきたという経験があります。日本でもそのスタイルを踏襲し、アンバサダーマーケティングに力を入れたいと考えています。ブリュードッグのパンクな精神や独自の価値を伝えながら、同時にファンを増やしていく、ということをしていきたいからです。
もちろん本国でやっていたことをそのまま、日本で実施する訳ではありません。
まずは、ファンの母集団を作るために自薦ではなく、ブリュードッグの世界感に共感いただけそうな方に絞って私たちがスカウトをしにいきました。一般的にターゲット選定と言えば、飲用実績やビールの好みを聴取することが多いですが、今回は、一風変えて、価値観軸を調査しました。その結果「こだわりを持っている探究心男性」に刺さりそうだということがわかりました。

徳力:驚きました。味覚の好みと性格が連動するようには思えないのですが、ブランドの世界感とうまくシンクロするんですね。

宮广さん:はい、ファン気質を持っている、何かにこだわっているという方達にブリュードッグの世界感を伝えてあげると、とても共感してもらえるということがわかっています。
ターゲットが決まったとして次は伝える内容です。ブリュードッグは「他と違う」「めずらしい」「かっこいい」などのイメージがありますが、実際には、それだけでは他の海外ビールやクラフトビールとハッキリとした差別化ができません。今は物性価値のみしか伝わっていないからです。ファンになってもらうためには、もっと情緒的な価値を感じてもらう必要があると考えました。
そこで、ブリュードッグの様々なストーリーを伝えてみました。すると、「何か新しい世界を築き上げたい」「古い概念をぶっ壊したい」、「ダイナミックでやんちゃ」な感じなどが刺さりました。突き詰めていくと、ブリュードッグの情緒価値は「エキサイティングな気持ち」になれると言えます。日本のビール、もっと言えば日本のアルコール市場全体のなかで、ブリュードッグは「エキサイティングなアルコール飲料」という地位を築くことが、私たちのミッションとなりました。
現在は、キービジュアル「さぁ、世界を変えてやろう/最高に“PUNK”なビール」や、ブランドストーリーを強く押し出した公式ウェブサイトなどで、この価値を積極的に伝えようとしています。

SNSでの活動の基盤としてアンバサダーマーケティングを開始

宮广さん:この思いを広めるために、アンバサダープログラム「BREWDOG PUNKS プログラム」というものを昨年立ち上げました。
我々はアンバサダーのことを“PUNKS(パンクス)”と呼んで、ブリュードッグを一緒に盛り上げてもらえる活動をお願いしています。そしてアンバサダープログラムのランクに応じてインセンティブを提供しています。活動プログラムでは、PUNKSからたくさんの投稿をしてもらうのが狙いなので、我々の公式SNSはブランド理解を促進するのと同時に、PUNKSによって皆にシェアしてもらいやすいような土台作りをするようにしています。
ファンミーティングを先月初めてオンラインで行いました。よく「アンバサダーって熱量が高い」って聞きますよね。でも私もPUNKSを前にして、初めて「ああ、これが熱量が高いということか」と体感することができた気がします。日本でもっとブリュードッグを盛り上げるためのアイデアなども聞いたんですが、本当にたくさんの意見が出てびっくりしました。キックオフミーティングで、ファンをマーケティングに取り入れるということが、どういうことか、が実感できましたね。

徳力:ブリュードッグが日本でのパンクのイメージを構築し直そうとしているんだなと思いましたし、ファン作りのサイクルが理想型だと思いました。これを日本でも成功させていくかは、宮广さんの腕にかかっているんですね。
初回からすごい熱量を感じたということで、これはすでに確固としたファンが存在したから、ということなんでしょうか。

宮广さん:そうですね。日本でプログラムを立ち上げるに当たっては、丁寧に準備を進めており、まずブリュードッグが好きだと発信している人を探すところから始めたんです。

徳力:集める前にスカウトしたんですね。

宮广さん:こういう人が欲しいと決めてから、一人一人、探しました。この人こそという方には、ツイッターの公式アカウントから「あなたブリュードッグを知ってますね。これからこういう取り組みをするので参加してもらえませんか」とお声がけしたんですね。そうしたらその段階で、もうネットがざわつき始めたんですよ。お声がけした人がプログラムに入ってつぶやくと、見た人が「俺も入りたい」と、誘う前から登録し始めたんです。

徳力:なるほどなあ。周りを巻き込んで。

宮广さん:すごく詳しい方もいて、わたしもイベントの最後にPUNKSの方を思わず「師匠」と呼んでいました。創業者の二人の本を読んでから、感動して商品を買ったという人も居ましたね。

徳力:啓蒙から始める普通のアンバサダープログラムとは真逆ですね。ただ、商品を広めていくときには効率が悪いのではないかと、もどかしい部分もありませんか。

宮广さん:もちろん大変なんですが、1回だけ買っていただくお客様を一気に増やすより、一緒に支えて応援してくれるファンを着実に増やすほうが、末永くお付き合いいただける構図を作りやすいと思っています。

徳力:季節商品を1シーズン売れればいい、というのとは違う考え方ですね。

宮广さん:PUNKSの方々がクチコミしてくれる力は、私ひとりの何倍、何十倍の広がりがあります。ですから、一見小さいところをやっているように見えて、実はスケールしやすい形を作っているのではないかと。
それから、ブリュードッグとPUNKSが堅く結ばれていることを認識いただくのも重要だと思います。創業者のジェームスは個人アカウントで世界中のPUNKSと付き合っていますが、コミュニケーションはもちろん、ときにはやり合ったりしていますよ(笑)。

徳力:パンクですね(笑)。そういえば、レッドブルも最初の最初は、あの特徴的な車でスポーツイベントに現れて手売りするところから始まったといいますし、ブリュードッグ自体もそうやってファンとSNSで伸びてきたのですから、そういう時代になったんだなとしみじみしてしまいます。

宮广さん:生き様に共感してブリュードッグを好きになってくれる」、そういう形を目指しています。

徳力:生き様って日本語で言われるとしっくり来るなあ(笑)。

アンバサダーとの交流で初めて知った、一切使っていなかったSNSの面白さ

徳力:順調に滑りだしたアンバサダープログラムですが、実は宮广さんは一切SNSはやってなかったというのが意外でした。

宮广さん:恥ずかしながらそうなんです。コンセプトは理解していましたが、個人として覗いている限り、普段使いする気にはなっていませんでした。ただ、今回ファンの声を聞く、交流するということをやってみて、初めて面白い!と思いました。SNSって、もっとマーケティングで一方的に宣伝するツールかなと思っていたんですが、コミュニケーションして、みんなの声が聞けるものなんだと、あらためて感心して楽しくなりました。

徳力:社内の方のアンバサダーマーケティングやSNSへの理解はどうですか?

宮广さん:最初にアンバサダー活動に力を入れていくということは伝えていましたが、あまり実感がなかったようです。実際に始めてみると、アンバサダー活動ってけっこう気軽にできるものだねとか、もっといろいろ活用できそうだね、という理解が浸透してきました。先日のキックオフミーティングでPUNKSから受け取ったアイデアに、どう応えるかということも社内で真摯に検討しています。

徳力:最後に、これからアンバサダープログラムを始めてみたい方に向けて、こんな風に最初の一歩を踏み出してみるといいですよ、ということをそれぞれからアドバイスいただければと思います。

宮广さん:私も、一歩を踏み出すことがとても大切だと実感しています。その一歩目は、まずはSNSをちゃんとやってみることかもしれませんね(笑)。公式アカウントではハードルが高いのであれば、例えばですけれど、「○○が好き」なんていう匿名アカウントを持ってみても面白いんじゃないかと思いますね。そういうことも、実際にやってみて初めて思いつくようになりましたし、やってみると変わります。

徳力:ありがとうございました。

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