WORKS導入事例
ファンの声には企業が伝えきれない価値がある
6年目のアイロボット ファンプログラム アイロボットジャパン合同会社 新しいアイデアをくれる
2015年よりスタートしたロボット掃除機「ルンバ」、床拭きロボット「ブラーバ」のファンで、一緒に「好き」の声を発信するファンプログラム。ご担当されている高川さんに、ファンプログラムの意義、そしてコロナ禍や今後のファンへの思いについて語っていただきました。
もくじ
マーケティングコミュニケーション マネージャー
ルンバやブラーバにお掃除をお任せすることで、毎日、快適に過ごせることをより多くの方に知っていただく活動をしています。
ファンの声は新しい発見を与えてくれる
吉田:本日は宜しくお願いします。
アイロボット ファンプログラムが2015年に立ち上がって、6年が経ちました。
立ち上げ当初はメインのご担当ではなかったとお伺いしておりますが、以前はどういったミッションをお持ちだったのでしょうか。
高川さん:はい。立ち上げ当時はファンプログラムの一員としてサポートをしていました。皆さまがルンバ・ブラーバをご自宅で使ったときの感想やイベント体験の反応を伺い、多くのことを学びました。また、実際にお会いしてお話を聞くと、ルンバ・ブラーバが愛されていると実感でき、感謝の気持ちでいっぱいになった記憶があります。ファンプログラムのサポート以外は、より広くルンバやブラーバの魅力について届けるための広告施策を行っていました。
まもなくファンプログラムの担当になって、多くの皆さまにメッセージを届ける領域と同時に、おひとりずつルンバやブラーバを使ってもらった感想を伺う、というように対象の幅とアプローチが異なり戸惑いはありました。
もちろん、どちらもルンバやブラーバの良さを広く知ってもらいたい、ということに変わりはありませんでしたし、アイロボットからのメッセージを届けることも、ファンプログラムの皆様のお声を届けることも、大事な活動で、相互の活動でアイディアを活かしあえています。
吉田:広く伝えることがメインになる広告宣伝の方法と、個々にアプローチをするファンプログラムは手法が随分違うように思います。
高川さん:そうですね、新しく担当になった内容を楽しみながらも、投稿内容やレポートを見たとき、広告効果のように評価できない、愛が詰まった皆さまの声を、どう社内で説明するのかについて苦労した思い出があります。
でも、アイロボットからお客さまに情報をお届けするのか、ファンからお届けするのかという違いはありますが、最終目的として先ほどの“ルンバやブラーバの良さを知って欲しい”ということに変わりはなく、今は社内も理解し、協力し合える環境を築けています。
吉田:これまで、モニターやファンイベントなど多くのコミュニケーションを実施されていますが、ファンプログラムに関して気づきはありましたでしょうか。
高川さん:私たちは、ルンバやブラーバの良さをどのように伝えたらいいか、いつも考えています。テクノロジーやどんなふうに掃除ができるのかということについては、アイロボットの目線でお伝えすることになります。
しかし、ファンの皆さまがご自身の体験を通して得た発信の中には、いつも発見があります。
例えば機能紹介で「カメラとセンサーでマッピングします」と私たちが表現すると、ファンの皆さまは「家具のここの脚まわり、ここの部分までルンバは認識してくれるのか!」とご自身の生活にどう役立つのかをプラスアルファで教えてくれるのです。
吉田:企業発信だけでは伝えきれない、活用方法や気づきはありますよね。
高川さん:東京本社にお招きしてアイロボットの雰囲気を感じていただきながら、製品を体感するリアルなイベントも実施していました。ユーザーさんやファンの方と接する機会がない部署スタッフもいて、スタッフの反応を知ることも学びになりました。
吉田:そうなるとアイロボットの方々にも新しい発見がありそうですね。
「わー、ルンバのこと、すごい写真撮って知りたがっている人がいる…」って(笑)
高川さん:ルンバをじっくり見て写真を沢山撮っていて、質問もしているファンの方の反応を見たり、ブログやsocial mediaの投稿を見たりして、「ファンの方は、ルンバやブラーバのことを詳しく発信してくれているんだね」と認知度が上がり、社内での取り組みに対する理解を得られました。ファンプログラムは、ファンの方々に楽しんでもらうだけじゃなく、私たちにとっても新しい発見があるね、と言ってもらえました。
ファンプログラムの説明をしてくださる高川さん
コロナ禍でのイベントは、「どこでも参加できるオンライン」へ
自宅からの参加ならではの発見
吉田:新型コロナウイルス感染症が拡大する以前はリアルイベントをされていて、その後この状況になってからは、オンラインイベントも実施されていましたが、2つのイベントに違いはありましたでしょうか。
高川さん:リアルイベントの良さは、その場でファンの方の反応が見えることです。そして、参加者のファンの皆さんも実物を目の前にして気になる部分をしっかり見たり、質問したりできることだと思います。また、沢山の方から質問をされても、それに対して個別のご対応がしやすいです。
ただ、リアルイベントは現場に足を運べる方にしかご参加いただけません。会場が遠い場合や、ご家族の都合がある方は、ずっと参加を見送ってきたと思います。このことは以前から心苦しく、いつか希望される皆さんに参加いただけるオンラインイベントをやりたいな、と考えていました。
コロナ禍になり、ZoomやGoogle Meetといったオンライン会議ツールを使う方が増えたように感じています。オンラインイベントを開催する環境を作りやすくなり、ファンイベントを開催することができました。ファンプログラムでのオンラインイベントのやり方や皆様の反応を見て、最近ではルンバ・ブラーバのオーナー様向けのYouTubeライブ配信に挑戦することができました。以前までの状況ですと、ファンの皆さんに「オンラインで観てください」というお願いはしづらかったのですが、いまでは企業の方がライブ配信することも増えて、観るほうも環境に慣れていますから、皆さんにお願いもしやすくなりました。
河野さん:それに商品の特性として、家の中で活躍しているルンバやブラーバを、実際にファンの皆さんのご自宅で見られるのも、リアルイベントでは叶わなかった点だと思っています。
高川さん:カメラをオンにして参加いただけると、どんなご家庭でどんな環境のお家で使われているのかがわかると、質問に応えやすくもなります。ご家族でルンバやブラーバを使っていて、お子さん含めて皆さんでオンラインイベントを観ていただけて良かったです。
家族で一緒に楽しんでいただいているということが伝わってきました。
リアルイベントの場合は、アイロボットにファンの方が訪れるイベントでしたが、オンラインイベントは、アイロボットがファンのお宅に伺うようなイメージですね。
吉田:オンラインでは、メンテナンスイベントも行われていたかと思います。
これは自宅でできるオンライン形式のほうが、掃除がしやすいですよね。
高川さん:そうですね。過去、手持ちでアイロボットのオフィスに持ってきていただいたり、事前送付していただいたりしていました。参加いただく皆様のご負担も軽減できたのだと感じています。
ご自宅でモニターをしていただく時も、使い方については説明書やビデオを各自見ていただくしかありませんでしたが、皆さんが使用するその場で確認しながらコミュニケーションが取れるのは、オンラインのメリットです。
吉田:オンライン・オフラインのメリットや使い分けは色々と考えられるかと思います。
高川さん:オンラインイベントは、リアルイベントに比べて人数の面でも多くご招待いただけます。リアルイベントは会場のスペースに限りがあり、20人程度が限界でしたが、オンラインならばご応募いただいたすべての皆さんに気軽にご参加いただけて、コメントも増えます。例えば、お話して質問する以外にも、チャットでもご意見やご質問するとアイロボットのスタッフが回答したり、参加者同士で交流されていて、ひとつのイベントで複数のコミュニケーションが生まれ、想像以上に多くのご意見を聞くことができました。
吉田:チャットの活性化はどうされていますか? なかなかコメントが書かれないという悩みを持つ企業様も多いです。
高川さん:チャットへのハードルが下がるように雰囲気作りをしています。チャットでは、「いいねだけでもしてね」「スタンプを押してみて」といった感じで運営側もお手本的に書き込んでいて、質問やリアクションを書きたくなったら、いつでも書いていいコミュニケーションをしています。
カジュアル・フォーマルの足し引きは、それぞれの目的や反応に合わせて変えていけばいいと思っています。ただ、画面の向こうの方に話しかけるように、とはいつも意識していますね。まだまだ、慣れてはいないので改善点や皆さまに助けられることの方が多いです。
河野さん:オンラインイベント後のアンケート結果を見ると、話しやすかった・参加しやすかったと感じていただけているファンの方も多かったように思います。
また、「他のファンの方ともっと交流したい」とご回答してくださっているファンの方もいらっしゃいました。
担当の河野さん
高川さん:あるオンラインイベントを実施した際に、最近ルンバを使い始めた方と昔から使っている方と、使用年数が違う方々が参加されてました。お互いに、情報や知識量、経験が違うおかげで、先輩ユーザーもコメントに応えてくれることが新鮮だったのかな、と思います。
オンラインイベントですと、常にニックネームが表示されているので「○○さんともっと話したい」と具体的にファンの方を想像して思ってくださったのかもしれません。
吉田:ファン同士が横のつながりで交流したいというのが見えるのは、オンラインイベントの新しい可能性を感じます。
商品を持っていなくても、ファンの「好き」に応えたい
吉田:アイロボット ファンプログラムは、ルンバ・ブラーバを使用されていない方も参加できるのですよね。これはもっといろんな方に使って頂きたい、ということでしょうか。
高川さん:アイロボットの製品は、即断で買える価格ではないかもしれませんが、決して憧れの存在で終わってしまいたくない、と思っています。
持っている・持っていないに関わらず、「好き」という気持ちが重要ですので、ファンプログラムで参加していただけるモニターの方は、将来ルンバやブラーバに掃除を任せたい、と思っている方も大歓迎です。
「好きだな」「掃除をお任せする暮らしをしたい」という方に一度試していただいて、いつでもその方のベストなタイミングでご自宅に招いて頂ければと思っています。
吉田:常にユーザーの隣に居るような距離感ですね。そしてモニターを行ったファンは、ブログやSocial mediaで画像や動画を使って発信されていますよね。
高川さんはそういったファンの声をどう受け止めていらっしゃるのでしょうか。
高川さん:アイロボットは、ファンの方が「アイロボットが好き」という気持ちに応えたいと思っています。
好きの内容は、「アイロボットが好き」でも、「ロボットが好き」でも、「家にある自分のルンバ・ブラーバが好きで、新しいものも体験してみたい」でも、何でもいいのです。「好きなのでこう思います!」という、アイロボットに対して期待している内容をストレートに発信いただきたいですし、そういった機会を提供していこうと思っています。
吉田:投稿などを拝見しましたが「イベントに参加して名付けが捗ります」だったり、「新機種も素敵だけど今いる子(ルンバ)を大切にしよう!」と言った「好き」が溢れる発信はよく伝わりますよね。
河野さん:今後は、ユーザーボイスとしてルンバ・ブラーバのある暮らしをファンの方自身に動画編集をしていただき、公開予定です。
作っていただいた動画を拝見して、「これはルンバ・ブラーバ愛がないと作れないな」と感じるほど、クオリティも熱量も高いものばかりです。
高川さん:この動画は本当にすごいです! 私もファンの方の愛を感じて感動しました。公開にご期待ください。
アイロボット ファンプログラムサイト
UGCを広告・カタログで活用する理由
吉田:ファンプログラムで発生したファンの声やコンテンツを、広告やカタログやなどにも使っていらっしゃるかと思います。これはファンの方も嬉しいですよね。
高川さん:最初にもお伝えしましたが、ファンの言葉にはいつも新しい発見があります。
「ゴミ捨てまで自動になりました」というクリーンベースの機能も、「ゴミ捨てまで自動になって、これで掃除のことをすっかり忘れることができました!」というのは、使った方がたの言葉ならではです。それを聞いた同じような悩みをお持ちの方にとっては、ルンバを使ってみたくなるモチベーションにもなりうる、感想以上の価値があると感じています。
吉田:通常の広告コンテンツの場合と、ファンが発信してくれるUGCは違いますでしょうか。
高川さん:アイロボットから発するメッセージはオフィシャルの情報として大事ですが、本当に使った方の声を求めている方にとっては、ファン自身の声、目の付けどころ、表現そのものは、実際に自分の家で使ってみた想像がしやすく、お家に導入したいと思うきっかけのひとつになるのだと考えています。
吉田:来年以降の将来的な企画として、予定されていることはありますでしょうか。
高川さん:すでにファンの方、ファンプログラムに参加いただいている方には、ファンがアイロボットの新しい魅力を発見してくれる機会を作り続けていきたいです。
また、製品を使っていただいている方々に、ずっと大事にしてもらえるように、お家にあるルンバやブラーバから新しい情報を提供して、アイロボットのサービスってこんなことがあるの? ファンでいて良かったな、と思っていただけるような「お返し」をしていきたいなと思っています。
吉田:ファンの方との双方向で行われる、コミュニケーションを大切にされているからこその「お返し」という言葉が素敵です。
本日はどうもありがとうございました。
アイロボットさんにインタビューをし、UGCの活用や、ファンプログラムの他のマーケティング施策との連携はもちろんですが、高川さんの愛のあるファンの方への言葉をお伺いし、長年続けてくださっている理由を感じました。
他の事例も見る
-
ブランドパーパスに共感を 〜Makuakeの応援型アンバサダーマーケティング〜
ポジティブな評判を形成する -
新規顧客の獲得機会は既存顧客から生まれる 〜パルシステムのアンバサダーマーケティング〜
新規顧客を連れてくる -
関係人口とアンバサダーマーケティング
リピーターと盛り上げる、小笠原村アンバサダーとは ポジティブな評判を形成する
-
有楽製菓株式会社
アンバサダープログラムをきっかけに投稿数が10倍に
有楽製菓「黒い広報室」の密なコミュニケーション ポジティブな評判を形成する
-
カルビー株式会社
共創商品は新規の購入者を増やす、 カルビーの「堅あげポテト 応援部」
新規顧客を連れてくる -
ブリュードッグ・カンパニー・ジャパン株式会社
ビールの世界をファンと一緒に変えていく BREWDOGのアンバサダーマーケティング
ポジティブな評判を形成する -
株式会社にんべん
「にんべん」のだしアンバサダー
どう売るかではなく、どう繋がるか。 ポジティブな評判を形成する
-
アイロボットジャパン合同会社
ファンの声には企業が伝えきれない価値がある
6年目のアイロボット ファンプログラム 新しいアイデアをくれる
-
FCAジャパン株式会社
ファンと繋がり、想起率を維持。アルファ ロメオ のインタラクティブなコミュニケーション
売上を支える、伸ばす