AMN近況報告

AMNが1周年を迎えました!

本日2008年2月13日、AMNが1周年を迎えました。これまで支えてくださった皆さま、本当にどうもありがとうございます。今年は飛躍の年とするべく、社員一同がんばっていきたいと思っております。今後ともAMNをどうぞよろしくお願いいたします。


【お祝いにすてきなチョコレートをいただきました!】

Happy1stAnniversary.jpg

安達@AMN  [2008年2月13日]  個別URL  トラックバック数(1)

米大統領選報道でも活躍する三洋電器の"Xacti"

昨年AMNにも広告をご出稿いただいた三洋電機さんのXacti(ザクティ)。日本のハードコア・ブロガーの間で熱烈な支持を得ているこのデジタルビデオカメラが、「スーパーチューズデー」が目前に迫った米大統領選の報道でも活躍しているようです。

PRコンサルタントのAndy Plesserが運営するBeet.TVでは、『たった700ドルのSANYO製ビデオカメラが、ビデオジャーナリズムの様相を一変させる?("Video Journalism Transformed by $700 Sanyo Camcorder? Mike Huckabee wonders: "Is that a Loaded Gun?")』というエントリが2月3日に公開されています。

このインタビュー動画に登場するのは、元MSNBCのエグゼクティブ・プロデューサーで、現在はNewsweekなどにサービスを提供するコンサルタントのタミー・ハダッド(Tammy Haddad)。彼女は"TamCam"と名付けた自分のXactiを片手に大統領候補者選の取材にあたっており、民主党バラク・オバマ候補への支持を表明した直後のテッド・ケネディ上院議員との単独会見に成功するなどの手柄を上げてきているとのこと。なお、この会見の模様はほぼそのままNewsweekのウェブサイトで公開されています。

"NEWSWEEK Exclusive : Kennedy on Obama"

Xactiの特徴について、「ハードディスクとマイクを内蔵した、この水鉄砲のような形の小型カメラは目障りにならず、(ハダッドが以前一緒に働いていた)カメラクルーの担いでいたものよりも威圧的でない」とこのエントリには書かれており、またこの「小ささ=手軽さが」がビデオを駆使した取材の性質さえも変えているようです。

実際にインタビューのなかで、ハダッドは「以前なら8人がかりでやっていた取材が、このカメラが1台あれば私一人でできてしまう」と経済的な効用を挙げているほか、取材の質的な変化にも言及しています。それは、たとえばレポーターやカメラマン、その他の取り巻きなど大勢で動くテレビ局のカメラの前では、候補者も「構えて」しまってなかなかホンネが見えづらい=撮りづらいのに対し、小さなビデオカメラなら相手の目の前まで迫ってその表情を撮し、その時々の感情などまで捉えることができるといった点だそうで、ハダッドはアイオワ州予備選でのヒラリー・クリントン候補のキャンペーンを取材した際に経験したこととして、この「発見」を紹介しています。

ちなみに、Xactiを愛用するジャーナリストとしては、このハダッドのほか、Fox Newsのグレタ・ヴァン・サステレン(Greta Van Susteren)や、NBC Newsのブライアン・ウィリアムズ(Brian Williams)らの名前も挙がっています(ただしウィリアムズについては「ウラがとれていない」とか)。

最近は政党によるYouTube活用なども実験的に始まっている日本。今年予想される衆議院選の際にビデオカメラ片手に走り回るジャーナリストの姿が増えても不思議はない気もしますが・・・今晩からはじまる「Super Tuesday」の成り行きとともに、そちらにも注目していきたいと思います。


坂和@AMN  [2008年2月 5日]  個別URL  トラックバック数(0)

GoogleのDoubleClick買収--狙いと影響は?

この週末、オンライン上は「GoogleによるDoubleClick買収」の話題でもちきりのようです。このディールについては、CNETITmediaなどで詳細の一部が伝えられていますが、もう少し詳しく知ろうと英語のニュースサイトやブログを漁ってみました。そこで浮かんできたのは:

1.Microsoft、Yahooを意識した競合対策
2.「育てるより、買ってしまえ」という戦略上の判断

という2つの大きな要因でした。

この2点は、New York Timesの記事("Google Buys an Online Ad Firm for $3.1 Billion")でも、News.comの記事("Google buys ad firm DoubleClick for $3.1 billion")でも指摘されています。


1については:

“Keeping Microsoft away from DoubleClick is worth billions to Google,” an analyst with RBC Capital Markets, Jordan Rohan, said. “Yet again, Microsoft is on the sidelines and away from the action.”
("Google Buys an Online Ad Firm for $3.1 Billion"@NYTimes)
Forrester analyst Charlene Li said Google can not only better compete with Yahoo's strong display advertising business but make it even harder for Microsoft, which recently launched its own search advertising system, to jump in.
("Google buys ad firm DoubleClick for $3.1 billion"@News.com)

そして、2についても以下の通り:

Google, for all its outsize reputation, has made most of its money in the online basics: the text-based search engine and small text ads that are like the Yellow Pages of the online advertising. DoubleClick’s strength, by contrast, lies in flashy banner ads and, more recently, video ads that are more like high-end magazine or television ads. Google has taken steps in the last year to enter display advertising by expanding its AdSense program but has not gained great traction.("Google Buys an Online Ad Firm for $3.1 Billion"@NYTimes)
The DoubleClick purchase is worth the price for Google, Li said. "Google has been trying to get into the display ad market for years. It was going to be a long slog for them to compete with DoubleClick for those advertiser relationships."
("Google buys ad firm DoubleClick for $3.1 billion"@News.com)

新聞やラジオ、テレビ関連の広告市場への参入も進めるGoogleが、昨年秋にはメインストリーム広告の中心地であるニューヨークに大規模な拠点を構えていることを踏まえると、おそらく「ディスプレイ広告に関するクライアントとの『関係づくり』が、思ったほど簡単に進んではいない」という部分が下敷きにあり、その上に「ディスプレイ広告のプラットフォーム分野で優位に立つDoubleClickが、競合他社の手中に落ちそうだ」という可能性が浮上したことで、「それならこの際買ってしまおう」という判断につながったのではないでしょうか(ちなみに、DoubleClickとGoogleのニューヨークオフィスは同じビルのなかにあり、従業員同士もよくお喋りする仲だ、との記述が上記News.com記事中には見られます)。

なお、この種の防御的企業買収は昨年秋のYouTube買収でも見られた、金満Goolgleの「お馴染みのパターン」かもしれません。

いずれにしても、このディールによって、Google-DoubleClick自身とパブリッシャー各社にはそれぞれ新たなジレンマが生まれることになりそうです。とりわけ、著作権関連の問題でGoogleとの仲がシックリといっていない大手パブリッシャー/メディア企業は現在も複数存在するわけで、それらの企業にとっては(少なくともオンラインでの)収入源をささえるDoubleClickのプラットフォームがGoogleの影響下に置かれる、という可能性は心休まるものではないでしょう。

ただし、そうした懸念などについては当事者側も強く意識しているようで、DoubleClickのCEO、David RosenblattはNYTimesとのインタビューのなかで以下のように語っています。

The sale raises questions about how Google will manage its existing business and that of the new DoubleClick unit while avoiding conflicts of interest. If DoubleClick’s existing clients start to feel that Google is using DoubleClick’s relationships to further its own ad network, some Web publishers or advertisers might jump ship.
Most of DoubleClick’s clients are locked into long-term contracts to keep using DoubleClick. And DoubleClick’s chief executive, David Rosenblatt, said in an interview last night that the company would protect its ability to remain neutral with its clients.
"We are exquisitely sensitive to our role as Switzerland," Mr. Rosenblatt said. "In the simplest sense, they bought customer relationships, and they’re primarily focused on making sure not only are those relationships preserved but that they are enhanced and made better."

なお、このニュースに関連して"A VC"ブログのFred Wilsonは、「これはバナー広告が復権する証拠のひとつ」という興味深いコメントをしています(同氏がそう主張する理由は、ひとことでいうと『キーワード市場の飽和』で詳しい説明は以下の通り):

Many marketers have reached the point that they can't easily buy more search. It's getting harder. Keyword markets are becoming efficient and supply and demand are coming into balance. Of course, that alone doesn't mean that all the other money will move into banners. Banners also need to produce measured returns.
But, banners carry branding value that text ads don't. The return on investment measure is not as cold and hard with banners. And the big branded advertisers that are leaving TV and print in search of better performance on the internet want to be able to brand with their ads. And they want to control where those ads are run. They'll pay more for those two features.
"The Banner is Back"

また、"Publishing 2.0"のScott Karpは、「Googleが、これまでの超効率的なシステムありきの広告配信プラットフォームに加えて、人(=「人間関係」)が牽引する広告プラットフォームを生み出そうとしている」と指摘。このエントリの最後の部分には、以下の一文が見られます:

"People aren’t nearly as efficient as machines, but that doesn’t mean they can’t be programmed to feed Google’s money making machine.”
("Google Acquired DoubleClick To Create A People-Driven Advertising Platform")

坂和@AMN  [2007年4月15日]  個別URL  トラックバック数(0)

もう「広告」と呼ぶのはよそうか。---『クチコミの技術』を読んで

コグレ(マサト)さん@[N]ネタフルと、いしたに(まさき)さん@[mi]みたいもん!の共著「クチコミの技術」を遅蒔きながら読み終わりました。『Cluetrain Manifesto(書籍邦題は「これまでのビジネスのやり方は終わりだ
†あなたの会社を絶滅恐竜にしない95の法則
」)』や『Naked Conversation(邦題:「ブログスフィア†アメリカ企業を変えた100人のブロガーたち」)』の系譜に連なる正統派の一冊、との印象を抱きました(『クチコミの技術』についての書評は、すでに有力ブロガー各氏が公開されていますので、もっと詳しく知りたい方は、版元である日経BP社の専用ブログなどから、これらの書評にアクセスしてみてください。

それにしても。
この『クチコミの技術』には「広告に頼らない共感型マーケティング」という副題が付されています。そしてAMNは、著者である御両人の活動を支援する手段として、「本丸」ともいえる[N]ネタフルと[mi]みたいもん!に「広告」枠を設け、そこに広告を配信することを生業としています。何たる矛盾!

「個」がこれほど重要になっている時代に、不特定多数の相手に向けて同じメッセージを発することには、もはや限定的な意味しかない(受け取る側の立場にたてば、基本的には誰しも「名もなき大衆」のなかの一人としてよりも、自分という「一人の人間」として認識され、扱われたほうが嬉しいはずだから)・・・そんなふうに考えている者としては、別にもう「広く告げる」ことを目的としたサービスを商うこともないか・・・という気もしなくはありません(むろん、ネットベースのクチコミがきちんと機能すれば、「広く告げる」ことも含めて以前には望めなかったような成果が収められるのは、『クチコミの技術』のなかで具体的に語られていることですが)

AMNの扱う商品が「広告」ではないとした場合に、ではいったい何と呼べばいいのか?

BonB広告などが狙いとしているのは、一方的に「広く告げる」ことを意図して出されるメッセージへの誘導ではなく、「井戸端会議へのお誘い」とも言えるものです。その点を加味し、かつそれらしい名称を付けるとすると、たとえば『ITC』("Invitation to Conversation"の頭文字)などが思い浮かびますが、これもまだしっくりと来ませんし、それで良いのかどうかについても自信も持てません。

とりあえずなにか良い代案にめぐり会うまでは「広告」商品という呼び方を続けますので、これっ!という名案を思いつかれた方は気軽にトラックバックでお知らせください。

坂和@AMN  [2007年4月 4日]  個別URL  トラックバック数(1)

あなたの「注目」にはもっと価値があっていい

アジャイルメディア・ネットワーク (AMN)にとって初めての読者アンケートが無事に終了しました。ご協力いただいた参加ブロガーならびに読者の皆さんに改めて御礼を申し上げたいと思います。どうも有り難うございました。

今回のアンケートは、回答者の方への謝礼orプレゼントも用意せずに実施された、まったくのボランタリーベースのものでしたが、それにもかかわらず約800件もの回答をいただくことができました。この結果から、パートナーブロガーの皆さんと各々のブログを支える読者の皆さんとの結びつきの強さをあらためて実感している次第です(この読者アンケートの結果については、分析作業が終わり次第公開の予定です)。

このアンケート結果は、今後各ブログの媒体価値向上に役立てられることになります。そのことによって、各参加ブロガーの皆さんの収益機会が増え、それが彼らの励みとなってより質の高い、より多くのエントリが書かれることで、アンケートにご協力いただいた皆さんに楽しんでいただけるコンテンツが増えていく・・・というのがAMNとしての当面の目標です。

また、それとは別に、個人的には次のような想いもあります。それは、読者としてAMNの試みに参加していただいている皆さんに、ご自分の「注目(Attention)」の価値をもっとレバレッジしていただき、いまよりももっと豊かで多様な「対価」を受け取れるような仕組みを実現したい、というものです。

この「情報に対して情報で報いる」という仕組みが結実すれば、その延長線上に読者/書き手(情報発信者)/広告主である企業のいずれにもベネフィットがもたらされる情報エコシステムが出現する・・・というのが将来を見据えた個人的な仮説ですが、現時点ではいかんせんこの仕組み自体が「絵に描いた餅」ですので、詳しい話は別の機会に譲ります。

いずれにしても、アナログ時代の広告モデルを引き継いだ現在のメディアの価値基準(「モノサシ」)では、あなたが実際にどんな人であろうとほぼ等価な存在として扱われています。広告の基準がインプレッション(PV)ベースであろうとあるいはCTR(クリック率)他をベースにしていようと、皆さんがどんな人であるか、という点はほぼ考慮に入れられていません。乱暴な喩えをすれば、ビル・ゲイツ氏であろうと、3歳児であろうと、あるいは野良猫のミケであろうと、ワンクリックの価値はみな一緒、ということになります。

(企業やメディア側からみたとき)皆さんがどんな人であるかを知る術がなかったか、あったとしてもコスト的な制約で実行が難しかったアナログ時代ならいざ知らず、そのためのまっとうなやり方が存在するいまの時代に、この「十把一絡げ」の扱いはいかがなものか、と。また、これだけ価値の多様化が叫ばれ、実感されているなかで、対価のモノサシがmoneyだけ、というのもおかしなものではないか、と(たとえそれが「最大公約数」もしくは「共通言語」的に役立つとしても...)。その点から、たとえば「広告を見たことに対して、直接お金が支払われる」といったスキームが意味を成しそうにないこともぼんやりと感じ取れるのではないでしょうか)。

「情報に対して情報で報いる」。

AMNは参加ブログを支持する読者の皆さんに対しても、そのようなカタチでサービスを提供していきたいと考えます。「なんだ、moneyではないのか」というご意見もあるかもしれませんが、その時々に自分にあった情報を探し出すためのコスト(=個人にとっては、主に手間)が大きくなっている現在では、この対価だけでもかなりのものになるはずです。また、当然ながら、moneyというモノサシでみて「多い」ほうがいいとも限りません。たとえばの話、事実上無産階級(!)に属する私に対して「とても有利な資産形成のお話が・・・」という情報(もしくはオファー)があっても、それは「ノイズ」に過ぎないからです。

皆さんの「注目(Attention)」の価値は、いまのところ「1インプレッション=1円」とか(あるいは0.2円とか)そういうレベルの数字でしか評価されませんが、実際にはもっと価値があって然るべきでしょうし、いまはまだその全体的な価値を計る道具立てが不足しているに過ぎません。AMNでは、そんな今はまだないモノサシや仕掛けをつくり、みなさんが注目の価値をレバレッジできるようにすることにも取り組んでいきたいと私は考えています。また今回のアンケートにもそうしたレバレッジの仕掛けづくりに至る第一歩としての意味合いがあると認識しています。同時にそれで飽きたらない読者の皆さん("passive participant")には、書き手としてさらに積極的に参加いただく"active participant"という選択肢もあります(いささか敷居が高い感じがあるかもしれませんが)。

AMNでは今後も継続的にアンケートを実施していく予定ですので、改めてご協力をお願いできればと思います。

坂和@AMN  [2007年4月 4日]  個別URL  トラックバック数(1)

マーケターが「ピープルメディア」と協力するべき理由

meetme120x41.gifおとといまでテキサス州オースチンでSXSW Interactive 2007が開催されていました。このイベントにはブログネットワーク関係者もたくさん参加しています。当地で開催されたパネルディスカッションに関連した記事をひとつ、ご紹介します。

SXSW:マーケターがピープルメディアと協力するべき理由
2007年3月14日 by Sean Ammirati(mSpoke)

「ピープルメディア」とは、「ソーシャルメディア」「read/writeメディア」「対話メディア」「ユーザー生成コンテンツ」といった言葉でも知られているものです。

ピープルメディアと従来のメディアの違いを端的にあらわすものとして、Ammirati氏は米国のブログネットワークFederate Media Publishingの例を挙げています。このネットワークの特徴のひとつは、ブログの著者が自分のサイトに表示される広告を拒否できることです。

「(ブログの)著者が、自分のサイトに出稿する企業を承認できるようにすることは、当たり前のことだと思うかもしれない。しかし、従来のメディアではこうしたことは行われていない。これは画期的なことなのだ。(略)自分のサイトへの出稿を許すということは、その企業を自分のサイトでの会話に招くことに等しい。そこには許可と信頼関係がある。現在、FMが販売している広告はすべて、事前に各ブログの著者の承認を得てから掲載されている。当初は著者の承認が得られないのではないかという懸念があったが、(略)結果的には対話が生まれ、新しい形のオンラインマーケティングが次々と実現することになった」(パネリストのひとりで、FM社長のBattelle氏)

拒否といっても、広告の掲載を拒否された広告主は全体の1-2%にすぎないそうです。それに対して、クリエイティブの改善を求められた広告はたくさんあり、これが「広告クリエイティブの進化」につながったとか。

Ammirati氏はウェブが今後、ますますソーシャルなメディアになっていくことは間違いないが、こうしたページはマネタイズが難しく、ピープルメディアを支えている個人に報いる方法を考えることが重要だと指摘しています。

とはいえ、それには時間がかかります。Battelle氏は、このプロセスを検索エンジンが登場してからマネタイズが可能になるまでの歴史になぞらえています。現在、検索広告は数十億規模の事業に成長していますが、そのためには適切な測定基準(クリックあたりのコスト)と広告ユニット(テキスト広告)の登場を待つ必要がありました。

インタラクティブ広告/メディア業界がこの問題と格闘していけば、いずれはピープルメディアでの広告に適した測定基準と広告ユニットが登場するはずだ。しかし検索の世界がそうだったように、ピープルメディアでもそれには時間がかかるだろう。

ブログというメディアを生かした新しい広告のあり方とは何か――AMNもこの点を模索し、提案していきたいと考えています。

伊東@AMN  [2007年3月15日]  個別URL  トラックバック数(0)

Googleの「ステークホルダーに対する配慮の欠如」に対する批判について

今日(2007/03/07)のCNET Japanのトップ記事に、「『組織的に違反』:MS、グーグルを著作権問題で非難」というものが上がっています。("Google 'systematically violates copyright' law."という一文からとったと思えるタイトル:「組織的に違反」...という訳が、原文のニュアンスを相応に伝えているかどうか、といった細かな点はさておいて)。この記事の主体であるMicrosoftの動きはひとまず脇に置くとして、ここで焦点の当たっている問題は、私が前回のエントリの中で触れたのと同じ事柄に思えます。それは一言で言うと、「ある情報エコシステム内での、ステークホルダー間での『より公平な価値の分配』」ということです。

Googleとしては、300年くらい(!)かけて世界中の情報をインデックス化=検索可能にしていきたい思惑のようです。もしそれが実現できれば、たしかにGoogleユーザーの利便性も高まるでしょうし、Googleにとっても世界中の情報が自社の広告在庫、もしくは他の(アフィリエートリンクのような形での)収入源となるでしょう。が、Googleの広告在庫となるコンテンツの作り手にとっては、そうなることによって得られるプラスと逆に失われるマイナスの影響とがいまだに明確ではありません。たとえば、米国出版者協会(AAP)側では「オンラインでの出版物(の中身の)閲覧が増えれば、それだけ書籍の売り上げが減少する懸念がある」と考えている。それに対し、Googleの言い分は「検索によって書籍の中身が人目に触れる機会が増えれば、それだけ本を買ってくれる人の数も増えるはず」というものです。

現状では、両者の主張はほぼ平行線をたどってきているように思えます。その原因は各々の主張をサポートするデータが提出されていないから、と考えられます。MP3ファイルの勝手な流通によって音楽業界が被ったダメージを見聞きしている著者&出版社にとっては、Google側の主張を受け入れるにはやはりある種の信念の跳躍("leap of faith")が必要なはずです。そのため、Google側からプラスがマイナスを上回ることをはっきりと示す何らかの説得力のあるエビデンスが提出されない限り、著者&出版社側でこの跳躍が起こる可能性は低い、といえるのではないでしょうか。また、そうしたエビデンスを提出することもなく、有力図書館との話し合いだけで(=著者&出版社側の知らないうちに)書籍のデジタル化&オンライン公開を進めようとするGoogleの姿勢が、利害の衝突する相手側からは「著作権に対してかなり尊大な態度」(cavalier attitude toward copyright / この場合のcavalierはどちらかというと「無頓着」ではないように思いますが)と受け取られてもしかたのないものに映るのではないでしょうか。

コンテンツの作り手や権利の保有者にとっての問題は、この「プラスがマイナスを上回る」ことがはっきり示されるだけで解決するでしょう(それが難しいからこそ、USATodayをはじめとするメディア各社が独自に新しい試みを始めている、と見ることもできます)。また実際に、そうした例も一部には出始めているようです(以前、Googleに焦点を当てたNHK特集でも、AdSenseからの売上だけで生計を立てている米国人の例が紹介されていましたし、かなり例外的な存在かとも思われますが、私の身近なところにもそういう方がいます。もちろん、いわゆる「スーパーアフィリエータ」的なやり方でなく、ブログのコンテンツつくりに比重を置いて活動されている方が、です)。

ただ、概して、AdSense等のマッチング広告やアフィリエート広告からの収入というのは、ごくごく少ないものである、との印象は否めません。メディア・パブに今月初めに投稿されたエントリ(「職業ブロガーで生活できる人,6500万人中100人だって」が物語るものは、まさにそうした少なさを示す傍証といえるのではないでしょうか(少なくとも、フルタイムの作家やジャーナリストは世界全体を合わせれば100人よりもっとずっとたくさんいるはずです)。

不特定多数無限大のネットユーザーと、やはり不特定多数の膨大な広告主とを、AdWords/AdSenseというかなり効率的な仕組みで結びつけたGoogleの功績については、いまさら屋上屋を重ねる必要もないでしょう。ただし、同社がそれに続く次の金脈を掘り当てる、大ヒットをかっ飛ばすためには、従来通りの技術的な能力の高さや合理的な考え方などに加え、関係する各ステークホルダーへの配慮がもっと必要になるのではないかと思います。

繰り返しになりますが、ブログを書く/コンテンツを作るという作業には、それなりにたくさんの知力や労力、そしてある種の才能が必要なはずですし、またGoogleその他の「検索広告の在庫」にするためだけにブログを続けている人というのもほとんどいないはずです。だとすれば、もっと違う収益源の選択肢があってもいい。前回のエントリで記した以下の一文:

「書き手/作り手のみなさんにできるだけ多くの分配を」という主旨で考えたAMN(あるいは米のFMPなども含めて)の仕組みは、ステークホルダー間での「より公平な価値の分配」につながっていくようなモデルではないかと考えます。

には、そういう現状に対するアンチテーゼの意味合いも込めたつもりです。無論それは、止揚(アウフヘーベン)に向けた建設的な異論であり、より多様な書き手の支援を通じて、より多様なコンテンツの選択肢を読者/オーディエンスのみなさんに提供できれば・・・というAMNの想いから発しています。

次回は、そんなみなさんーこのエントリをお読みいただいているあなたご自身の「アテンションはタダではない」という話を書きたいと思います。

坂和敏

AMN事務局  [2007年3月 8日]  個別URL  トラックバック数(3)

ブログネットワークの可能性

少し古いのですが、半月ほど前のBusiness Week Onlineに米国のブログネットワークに関する記事が載っていました。

記事によれば、「何百万人もの人がブログやニッチなウェブサイトを運営しているが、なかなか自分の情熱を生計につなげることができていない」という現実(日本でもそうですね)に対するひとつのソリューションとして、ブログネットワークが登場し、急成長を遂げていると書かれています。AMNも、こうしたブログネットワークのひとつです。ブロガーのみなさんに対するAMNの思いは、昨日の坂和の熱くて長い(笑)エントリをごらんください。

米国の大手ブログネットワーク、Federated Media Publishing(FMP)のJohn Battelle氏は、ブログネットワークについてこう語っています。

「(ブログネットワークは)音楽レーベルのようなものだ。(ブログネットワークが)ブロガーの知的財産をコントロールすることはないし、何を歌えと強制することもない」

企業にとっては、これらのブログネットワークはどんな意味を持っているのでしょうか。米Hewlett-Packard(HP)はブログネットワークを利用したオンラインキャンペーンを実施する予定だとか。HPの担当者は記事の中で、ブログネットワークの魅力を「ユニークな方法でブロガーのコミュニティに入ることができる」ことだと述べています。ブロガーのコミュニティは、従来の雑誌広告やテレビ広告ではリーチすることが難しい層でもあります。ブログネットワークが急成長を遂げている背景には、ブログの影響力が企業のマーケティング部門や広報部門にとっても意味を持つほど、高まってきたことを意味しています。

AMNブログでは、AMNに限らず、世界のブログネットワークやその活用事例をご紹介していきたいと思っています。今後ともよろしくお願いします。

伊東@AMN  [2007年3月 2日]  個別URL  トラックバック数(0)

まずは「機会の均等化」と「選択肢の多様化」にご期待いただければ、と

アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)のサービス開始発表から一週間が経ちました。この間、あるいはそれ以前の実験プロジェクトの段階から、さまざまなブロガーのみなさんに当社のことをお取り上げいただけたことについて、まずは御礼を申し上げたいと思います。本当に有り難うございました。

ただ、まだまだこちらの伝えかたが十分でないせいか、自分たちの真意とはいささか異なるニュアンスを帯びて情報が伝わっている部分もある・・・と、そんな印象を受けるエントリもいくつか見かけたので、今日から少しずつ、折りをみて、その「至らない部分」を補うような事柄をこのブログに記してみたいと思います。

まず、ちょっとだけ気になったのは、以下のような見出しが独り歩きしている部分が若干なくもないかな、という点。

ブロガーの支援か、ブログ格差社会の拡大か、ブログ広告代理店(Agile Media Network)登場の意味

FPNの常連寄稿者である山崎氏のこと、さすがにこうしたキャッチーな見出しを捻り出されるのもお手のものなのかもしれません(米国の状況なども交え、全体としてよくまとまった文章ですので、この見出しはeye-catchのための「意識して」つけたものと、余計にそう思えたりも)。「たしかに、AMNの事業がうまく軌道に乗れば、結果的に(たぶんいまよりも)多くの利益を得る書き手/作り手の方がでてくるだろうな」「そうなると、漫然とご自分の気分に任せてブログをつけられている方とは、やはり収入の点で差が広がってくるのかな」と、この考察を読んで改めて気づかされた次第です。

ついでに言えば、こうしたクリティカルな部分も含む見方が、当社の支援させていただくメディアの上で公開されるというのも、この世界の非常に面白いところだと私は感じます。が、そのことはひとまず脇に置くとして。

ただ--ここからが言いたいことですので、どうかご注意いただきたく--AMNは(ブロガーのみなさんから見て)つねに「オープン」です。いまもそうだし、この先もずっとそうであり続けるでしょう。遠い昔に読んだプリゴジンの名前を持ち出すまでもなく、常に新しいトレンドや勢力が現れ、次々と新たな構造が創り出されているネットは、まさに「散逸構造」もしくは「定常開放系」の典型といえるもの。そんな認識に立てば、系全体の構造に逆行するようなクローズドな環境をわざわざつくって、エントロピーの増大に拍車をかけるような選択肢を選んだりはしません(・・・これ以上続けると、地金が露わになりそうなので、難しい話はここで打ち止め)。
 
ブロガーのみなさんにとっては、少なくとも当初は、参加への敷居がいささか高めに設定されているように受け取られるかもしれません。が、それはこの新しいエコシステム(!)を構成する他のステークホルダーーつまり、広告主のみなさんと、そして何よりも各ブログを支持する読者のみなさんを考慮した場合になくてはならないものだと考えます。なぜなら、総体としてのAMNは(読者のみなさんにとっては)Google等の検索やYahoo!などのディレクトリとはまた違った情報摂取時の「フィルター」として機能することになると考えるからです。

「Web 2.0」を特徴づける要因のひとつが、いわゆる「不特定多数無限大」(by 梅田望夫氏)のネットユーザーの存在を前提にした、彼らの力を借りる(=いわゆる"Wisdom of crowd"か?)形のサービスだとしたら--YouTubeも、mixiも、ソーシャルブックマークも、ブログ全般もたいていはそうだと思う--、これからはそうした手軽にパブリッシュできるプラットフォームの普及の影響--つまり、結果として急激に増え続けている情報を、どう個々の人(たとえば、あなたや私)の口に合う形で提供できるようにするか、という点に改めて大きな注目が集まるようになると思います。

これは特に新しいことでなく、前のネットバブルの頃にはすでに「インフォミディアリー(infomediary)」(by John Hagel III)というコンセプトが示されていたし、さらにさかのぼれば80年代にAppleの「ナレッジ・ナビゲータ(Knowledge Navigator)」というのもありました。もっとも、それぞれが時期尚早で、あるいは単なる未来へのビジョンとして提示されただけで、実装されることはなかったけれども(付け加えると、「インフォミディアリー」のコンセプトとナレッジ・ナビゲータのビジョンとは、個々人のニーズや嗜好に合った=カスタマイズされた情報が手に入る/提供される、という類似点以外は、そうとう違う種類のものだろう)。

いずれにせよ、いまほど大勢の人が忙しく暮らす時代になってくると、こういう役目を果たすフィルターの選択肢がいくつもあっていいと思います。そうして、これまでは読者のみなさんにとって「接点」となるフィルターの仕組みや、あるいはパブリッシングのためのプラットフォームを開発/提供した主体者(企業)自体が、ユーザーや広告主といった他のステークホルダーに比べて、成功の果実の大半を独り占めして来た印象もあります(「Google社内で何百人もミリオネアが生まれた」とか、「 YouTubeでは受付嬢さえミリオネアになった」とかは聞くけれどが、たとえば「個人ブロガーがAdSenseで桁外れのミリオネアになった」という類の話は寡聞にしてまだ知りません)。が、その点では「書き手/作り手のみなさんにできるだけ多くの分配を」という主旨で考えたAMN(あるいは米のFMPなども含めて)の仕組みは、ステークホルダー間での「より公平な価値の分配」につながっていくようなモデルではないかと考えます。

話がだいぶ迷走してきたので、ここらで結論を。

ブログが多くの人にとって簡単に使い始められるパブリッシングツールである。そのことはあらためて言うまでもないでしょう。そうして、この情報発信者にこれまでになかった収入源をもたらそうとする(さらにいえば、その成否の程度によって社の命運が決まる)AMNは、まずは「Opportunity Equalizer(機会均等化の仕組み)」として機能することになるでしょう。これがぜひともお伝えしたい私自身の考えです。
 
たしかに、月5?10万あるいはそれ以上のページビューを集めるまでにブログを育てていくのはたいへんな作業でしょうが、ほかの世界に比べれば、自らの才能や努力がこれほど如実に結果に反映されるものも、とくにいまの時代には珍しいと思います。たとえば「官僚の世界で頭角を現すには、どこの高校(「大学」ではない)を何年に卒業したかが重要なポイントになっている」という話もここ数年よく見聞きしますし、政治家のようにいまや世襲がなかば「当たり前」に近いところもあります。それに比べ、ブログ界やネット全体にはそんな格差を生み出す「生来の条件」的な違いもほぼなく、またそうしたものが生れるほどの歴史もありません(みんなが「ヨーイ、ドン!」で駆け出したのがせいぜい12?13年前のことなので)。あるとすれば、「情報を見つけ出すのがうまい」「文章を書くのがうまい」「歌をうたうのがうまい」「絵を描くのがうまい」かどうか・・・といった、どちらかといえば個々人の生身にちかい部分の差が拡大されるのかもしれませんが。まして「どこかの組織に属す、またはその依頼を受ける」ことが自らの考えを発表できる前提、という時代はとうの昔に終わっているので。

そうしたことで、まずはご自分で書き始める--ほかの人にとって有用または面白いと思える話を意識して書き始める、というところから、私たちの「実験」への参加に至る道程を歩み始めていただければ嬉しいです。あるいは、より受動的な形ーたとえば、お気に入りのブログへの支持を表明するつもりでこれまで以上にアクセスしていただく、という形の参加でも非常に有り難く思います。もしお望みなら、そういうちょっとしたところから関われるのがこのAMNの実験ですので。

すでにかなりなスペース(とエネルギー)を費やしてしまっていることにいま気づきました。「選択肢の多様化」云々についてはまた別の機会に(あしからず)。

坂和敏


AMN事務局  [2007年3月 1日]  個別URL  トラックバック数(0)

日本のブロガーは、もっと評価されていいはず

agilemedia_logo1.jpg アジャイルメディア・ネットワークの歴史は、そんな思いから始まっています。

 日本でも2005年に一気にブログが普及し、ブログと言う言葉は広く認知されるようになりました。
 2006年4月の総務省の調査によると、2006年3月の段階でブログの登録者数は868万人と言われており、その後も大きく増えていることが予想されています。

 また、コンテンツマッチ広告や、アフィリエイトなどの手段の多様化もあり、ブログによる情報発信を通じて、ブロガーが収入を得ることも比較的容易になってきています。

 ただ、日本のブログはもっと評価されていいはず。
 そうアジャイルメディア・ネットワークは考えます。

 ブログには様々な利用形態があり、日記として利用している人、友達とのコミュニケーションツールとして利用している人、ストレス発散に利用している人など、その利用方法は様々です。
 その中でも、我々が注目しているのが、既存のメディアに負けない濃い内容の情報発信を行っているブログや、影響力のある多くの読者に読まれているアルファブロガーと呼ばれるようなブログの数々です。

 これらのブログは、これまでの既存メディアでは難しかった専門家による情報発信、独自の知識や経験に裏打ちされたオピニオンの発信を行っており、これらの情報が、私たちの日々の情報収集に新たな視点や、可能性を開いてくれています。

 こういった情報発信をされているブロガーに、既存メディアと同等の収入や運営のサポートをすることができれば、さらに日本でこうしたブロガーが増えることに貢献できるのではないか。
 ひいては日本のインターネットに、もっと面白い、もっと役に立つ情報を増やすことができるのではないか。

 それが、アジャイルメディア・ネットワークのスタートです。
 まだまだ数人の会社で、足りないところもたくさんありますが、そうした夢を達成するため、一歩ずつ着実に進んで行きたいと思います。

 当然、これは一社で達成できる夢ではありません。
 今後こうするべきだ、ここを直した方が良いというご要望やアドバイスがありましたら、ブログからのトラックバックや、メールで遠慮なくご意見をお寄せください。

AMN事務局  [2007年2月16日]  個別URL  トラックバック数(0)

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